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コンパクトで小回りが利く!『円網ヤンキー式抄紙機(模型)』

円網ヤンキー式抄紙機(模型)入口から第1展示室に入り、円形の室内を回り込んでいくと、この模型があります。私にとっては大変懐かしい機械です。これは実物と同じ構造でかなり細かい所まで精巧に作りこんでありますので、各部の構造や機能が良くわかります。この形式の抄紙機は「円網(まるあみ)ヤンキー式抄紙機」と言います。円筒形のワイヤーパート(円網)で紙層を形成し、毛布に移してからプレスロールで絞り、大きな鉄製の筒(ヤンキードライヤー)に貼り付けて乾燥します。コンパクトな構造で、ちり紙や障子紙などを作る機械として、小規模な生産に適しています。

製紙会社の研究所に勤めていた頃、少々古ぼけたこの形式の機械があり、たくさんの試作を行いました。少量の原料でも無駄が少なく、小回りが利くので、原料配合を変えたり、抄紙条件を変えたりしながら試作するのに便利なのです。工業材料として使用する紙でしたので、展示会などに出品するときには巻取りの形のサンプルが必要でした。紙の狭い定義では、繊維同士がお互いに接着する性質を持っている植物繊維のパルプが原料ですが、紙を製造する技術を使って作られたシート状のものも紙と考え、パルプ以外の繊維、例えば合成繊維や、ガラス繊維などの無機材料も使用しました。長い繊維を抄(す)く場合は、和紙の紙漉(す)きで使用するネリのような粘剤も使います。徹夜も交えて、何日もかかって小さな巻取りを何種類も作り、見本市会場に持ち込んだ頃が思い出されます。

この模型、実はモーターで各部が動くようになっているとのことです。一度、電源を入れて実際に動かしてみると面白いだろうな、と夢のようなことを考えています。

(元解説ボランティア 茨木孝昌さん)
『紙博だより』第37号(平成21年1月1日発行)より再録

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