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背が高く巨大な『カミヤ式連続蒸解釜』

カミヤ式連続蒸解釜

この模型は工事用に製作されたもの。

現代の製紙産業を紹介する第1展示室に『カミヤ式連続蒸解(じょうかい)釜』の模型があります。製紙工場の大きな機械といえば、横に長いのは紙を抄(す)く長網抄紙機(ながあみしょうしき)ですが、背が高いのは木材を煮て繊維を取り出す蒸解釜です。蒸解釜は建物の中に入らず屋外に設置することが多く、空高くそびえる特徴的なその姿は、遠くから見た時に製紙工場を見分ける大きな目安になります。この模型の高さは167cm、縮尺は1/25なので実際の高さは地上約42m、如何に背が高いか想像してみてください。

木材から製紙原料となるパルプを取り出すには、煮て柔らかくします。料理と同じで、煮えやすくするために木材を小さく切った木片(チップ)に薬液を加えてある時間、高温・高圧で煮込みますが、釜の大きさに応じた量を1回ごとに煮込む「バッチ式」と、連続して煮込む「連続式」があります。チップを縦に細長い円筒容器の頂部から仕込み、薬液とともに加熱しながら煮て、底部から連続的に取り出すのが連続蒸解釜です。

スウェーデンのカミヤ社が開発したこの連続式パルプ化方式が実用化段階に入ったのは1950年代ですが、長らく蒸気加熱したチップを蒸解釜に仕込む1ベッセル(塔)方式が主流でした。ところがこの模型はチップを蒸気加熱後に、浸透タワーを経由してから蒸解釜に仕込む2ベッセル方式となっています。これは蒸解薬液(白液)をチップに充分にしみ込ませるためのもので、薬液浸透の難しい樹種に適しているとされ、1970年代に開発された方式です。展示の模型は1974年に本州製紙(現王子製紙)釧路工場に段ボール原紙用として設置されたもので、この蒸解釜を納入したガデリウス社より1978年に当館に寄贈されました。これは日本で最初に設置された2ベッセル型連続蒸解釜の記念すべき模型なのです。

(解説ボランティア 今泉乾次郎さん)
『紙博だより』第38号(平成21年4月1日発行)より再録

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