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欧州文化と日本の匠たちとのコラボレーション『金唐革紙』

金唐革紙「狩人」上田尚作

金唐革紙「狩人」上田尚作

「これは紙なんですか?」4階第3展示室に展示されている金唐革紙「狩人」を見て、来館者からこんな質問を受けることが多い。一見して紙だとわからないほど精緻な凹凸模様が施された金唐革紙には、こんな歴史がある。

17世紀半ば、欧州から凹凸模様に彩色が施された革製品「金唐革」がもたらされ、和紙で模造した「擬革紙」は、煙草入れなどに加工されて人気を博した。江戸末期から明治にかけて来日した外国人は、皮革そっくりの紙に驚くとともに大変興味をもち、壁装用に使えないかと思いつく。明治初期に大判の擬革紙が創製され、明治6年ウィーン万博に「金革壁紙」として出品、輸出の道が開かれた。欧州文化と日本の匠の技がコラボレートして、豪華できらびやかな和紙製の壁紙"金唐革紙"が生まれたのである。

欧米で高い評価を得た金唐革紙は、明治後半までは数多く輸出された。しかし、第1次世界大戦の勃発による輸出の低下や紙質の悪化などが原因となって次第に衰退し、昭和37年にはその製法は途絶えてしまう。その金唐革紙を復元したのが「狩人」の作者、上田尚(たかし)氏である。氏は昭和58年、旧日本郵船小樽支店(明治39年、日露樺太国境画定会議開催の場となった)の修理工事に従事して以来、日本各地の重要文化財の壁紙を復元するとともに、技術の継承にも尽力されている。「狩人」をはじめ復元品の多くは、当館所蔵の版木ロールを用いて製作された。

(解説ボランティア 齋藤元さん)
『紙博だより』第49号(平成24年1月1日発行)より再録

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