館長挨拶

古代、中国で誕生した紙の製法が日本に伝わってから1400年あまり。それ以来、コウゾ・ミツマタ・ガンピなどの靭皮繊維を原料として、流し漉きと呼ばれる独特の技法を確立するとともに国内各地で紙が生産され、日本独自の紙文化を発展させてきました。

明治初めには、西洋式機械を備えた近代的な製紙工場が王子の地に建設され、日本で本格的な洋紙の生産が始まりました。その後、製紙産業は紙の生産・供給と同時に、環境問題の解決にも力を注ぎ、持続可能な資源循環型産業を目指して取り組んできました。

当館は、昭和25年(1950)に製紙記念館として創立し、昭和40年(1965)に「紙の博物館」に改称して以来、長く「かみはく」の愛称で地域の皆様はじめ、多くの方々に親しまれてきました。

2020年には創立70周年を迎え、身近な「紙」をテーマにした博物館として、紙の歴史や文化、素材としての可能性や産業としての持続可能な将来性を、ここ「洋紙発祥の地・王子」より、これからも発信してまいりたいと思います。 皆様のご来館をお待ちしております。

紙の博物館館長
渡 良司