紙の博物館は、昭和25年(1950)6月8日、「洋紙発祥の地」として知られる東京・王子に設立されました。王子は、日本近代経済の父と言われる渋沢栄一の提唱と主導によって、明治8年(1875)に大規模な近代的製紙工場のさきがけである「抄紙会社」(後の王子製紙王子工場)が操業を始めた土地です。「抄紙会社」はその後、「製紙会社」、「王子製紙株式会社 王子工場」と名称を変えながら操業を続けていましたが、第二次世界大戦中に空襲に見舞われ、壊滅的な被害を受けました。
昭和24年(1949)、占領政策の過度経済力集中排除法によって、王子製紙は苫小牧製紙・十條製紙・本州製紙の3社に分割されました。これを機に、翌昭和25年(1950)王子製紙紙業史料室の資料を一般公開し、広く社会教育に貢献するために、王子工場で焼け残った電気室の建物を利用して、紙の博物館の前身である「製紙記念館」が設立されました。